16世紀にさかのぼる歴史
ロジェ・サボンはシャトーヌフ・デュ・パプの歴史と深く関わってきた一族だ。現在はジャン・ジャック、ドゥニ、ジルベールの家族がオーナーだが、曾祖父のステファンは、1930年代にル・ロワ男爵と試飲しながら、アペラシオンの規定を議論した。ドメーヌ設立は1952年だが、ブドウ栽培の歴史は16世紀にさかのぼるという家系だ。
ワイン造りは伝統的だが、現代的な要素も少しずつ取り入れている。1996年から黒ブドウはほとんど除梗する。発酵や熟成に使う容器はキュヴェによって異なるが、決してろ過しない点については譲らない。ろ過が香りやボディをもたらす要素を奪ってしまうという信念を持っているからだ。
高樹齢の区画から生産するプレスティージュ
シャトーヌフ・デュ・パプは4つのキュヴェがある。スタンダードのレ・オリヴェ、その上のレゼルヴとプレスティージュ、それにトップキュヴェのル・スクレ・デ・サボン。
樹齢80年を超すプレスティージュは除梗し、自然酵母によって発酵させる。ポンプオーヴァーとピジャージュの両方を駆使するが、ブドウの粒をつぶさないよう注意を払っている。65%はフードルで、35%は古樽主体のバリックで、15か月以上にわたって熟成される。
「サボン家の秘密」という名のトップキュヴェは、優良年に3000本のみ生産。樹齢100年の区画から、法定13品種を使って造られる。熟成の樽使いは、プレスティージュと基本的に変わらないが、バリックの新樽比率がわずかに高い。
凝縮力とエレガンスを備えた圧倒的なワインだ。お買い得なリラック、ヴァン・ド・フランスも見逃してはいけない。秀逸な生産者は低価格のワインほどお買い得という法則はどこでも生きている。
パーカーは「世界の極上ワイン」で書いている。「別格の高品質ワインを、長年にわたり生産している。近年のヴィンテージは新たな水準に上がった。しかも、大勢に見つかっていないから、価格は驚くほどリーズナブルだ」