1980年代から別格に
ドメーヌ・ド・ボールナールもまた歴史が長い。1695年に、「ボワ・ルナール」だった名前が現在のボールナールになった。ロバート・パーカーは「シャトーヌフ・デュ・パプをリードするエステートの一つ」と、著書の「ローヌワイン」で評している。
ポール・クーロンが率いてきたが、現在は息子のフレデリックとダニエル兄弟が中心になって運営している。シャトーヌフ・デュ・パプに32ヘクタール、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ラストーに25ヘクタールを所有する。1980年代後半にセラーが完全に近代化され、ワインの品質は優良から別格に向上した。
中量級の、しなやかなテクスチャーのワインがここの特色で、ときにはマセラシオン・カルボニックも一部で導入している。ブドウは除梗されず、収穫の一部は破砕されるが、大半はそのままタンクに送り込まれる。
ダニエルが主導権をとるようになってから、醸造とマセラシオンの期間を長くし、濃密さと豊かさを引き出す方向に向かった。
ピュアでフレッシュ 洗練されてエレガントに
キュヴェ・クラシックと呼ばれる通常のシャトーヌフ・デュ・パプは、フレッシュさと果実味をたっぷりと備える。圧巻は1990年から始めたラグジュアリー・キュヴェのボワルナールだ。
樹齢65〜90年の畑から、グルナッシュにムールヴェドルなどをフィールド・ブレンドして造られる。20%新樽のキャスクで、12〜15か月間熟成される。現代派に属する造り手だが、古典派を好むパーカーもボールナールがお気に入りだ。
「国際的スタイルすぎるとの批判もあるが、シャトーヌフ・デュ・パプの偉大なワインの一つだ。新世界的な醸造と育成にもかかわらず、アペラシオンの個性を保っている」
スタイルの多様性も、シャトーヌフ・デュ・パプの面白さの一つ。ワイン・アドヴォケイトは「繊細なタンニン、ピュアさ、フレッシュ感に重点を置き、過去のヴィンテージより洗練され、エレガントになったようだ」としている。