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ワインと料理の合わせ方④質感編

ソムリエ朝倉達也です。

いつもと全く違うGWも明け、皆様いかがお過ごしでしょうか?

僕の住む兵庫県を含むいくつかの都道府県は未だに酒類の提供が禁止されています、、、

酒を飲まずにおとなしく食事をすれば感染しないのか?

ウーロン茶を飲んでバカ騒ぎしても感染しないのか?

もはや何を言っても無駄だとは思うのですが、アルコールビジネスに携わってる我々にとっては本当に厳しい状況です。

ますます今後も家飲みの需要が増えていくでしょう。

家飲み、それはそれでいいじゃないですか!

好きなように作り、飲み、そのまま寝てもOK(笑)

ちなみに僕は断然家飲み推進派です。なのでワインに合わせる料理も極力簡単なものを紹介しているつもりです。

今回のテーマは「質感」です。マウスフィールとも我々は表現します。

質感は醸造と熟成期間、アルコール度数に由来するものが多いと思って頂いて結構です。味わいとは離れた形で、ワインという液体が口内でどう動くのか。口内での広がりかた、流れる速さ(流速)を総合的に捉えます。

主に副詞を用います。

イメージしてみましょう。

ドイツの急斜面の若い白ワイン=サラサラ、スルスル

イタリアのプロセッコ=フワフワ

若いネッビオーロやギリシャのクシノマヴロ=ザラザラ

オーストラリアのクナワラの若いカベルネソーヴィニヨン=ギシギシ

MLF(乳酸発酵)を行った白ワイン=スベスベ

若いマディランやカオール、マルベック=ガシガシ

こんな感じです。

いわゆるタンニンの口の当たりかたと樽熟成やアンフォラ熟成、バトナージュやポンピングオーヴァーなのどの醸造技術によるワインの口当たりです。

「ぐいぐい」飲めるというのもある意味質感ですね。

軽くて滑らか+低アルコールなので水のように「ぐいぐい」飲めるわけです。

食べ物でイメージしましょう。この方が簡単です。

麺類はスルスルもしくはズルズル、ですね。

かけ蕎麦ですとツユに濃度がないのでスルスル。

カレー南蛮や豚骨ラーメンのようにスープに濃度があるとズルズル、です。

瑞々しい生の葉野菜はシャキシャキ、生の根菜はポリポリ。

というような口内での質感を近づける事でより違和感がなくなるわけです。

HART FORD / 2018 OLD VINE Zinfandel Russian River Valley 2018

今回紹介するワインは

HART FORD / 2018 OLD VINE Zinfandel Russian River Valley 2018」です。

カリフォルニアのワイン産地としてはとりわけ冷涼として知られるのがこのロシアンリヴァーヴァレーです。

海からの冷涼な空気が流れ込むため、気温の日較差が大きく他の地区よりもハングタイム(生育期間)が長く取れるためブドウは良い酸をキープしながら成熟することが可能です。

ジンファンデル種の豊富な果実味と、カリフォルニアらしい高アルコール。

フレンチオーク100%由来の滑らかさ、この点に注目して一言でまとめると甘く(果実味)濃く(アルコール)柔らかい(樽熟成)といったところでしょうか。

いわゆる「甘やかでグニッと、トロトロした質感」という点から僕が今日作った料理は、中華です。

ワインと料理のマリアージュ

イメージは上海料理の上海五花肉焼です。

豚肩ロースを一口大に切り、醤油、蜂蜜、紹興酒とニンニク、八角、生姜、紹興酒でマリネして肉と野菜を焼いた後にマリネ液を加えて水溶き片栗粉でとろみをつけて完成。

片栗粉のとろみは15.3%のあるコールドがあるこのワインのオイリーさとマッチしますし八角の清涼感のある香りがジンファンデルの持つ果実味にとても合いました。

豚肉は焼いた後に軽く煮込むことで適度な外殻の硬さを持つので樽熟成の少し硬い堅牢度に寄り添います。

中華料理の持つオイリーさと濃さはカリフォルニアワインとの相性が良さそうです。

そして家庭でも作り易いという点でもカリフォルニアワインは家飲みにとても重宝するのではないでしょうか?

固定概念を打ち壊して、もっと自由なワインと料理のハーモニーを楽しみましょう!

メゾンドタカ芦屋 朝倉達也

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