先見の明が生きるカベルネの王者
カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンを語る時、ダイアモンド・クリークは外せない。アル・ブラウンシュタインは1967年、マヤカマス山脈のダイアモンド・マウンテンの斜面を購入した。ヴァレー・フロアの平坦地でブドウを栽培するのが普通の時代に、コストのかかる斜面にブドウを植えるのは賭けだった。
しかし、アルは挑戦を恐れなかった。カリフォルニアワインの父と言われるアンドレ・チェリチェフのアドバイスを信じていた。自らブルドーザーを操縦し、巨岩や巨木を切り開いた。彼の先見の明は、斜面や山岳部から後になって、カルトワインが生まれたことで証明されている。
アルにはほかにも先見の明があった。今では当たり前だが、カリフォルニアにテロワールがあることに気づいていたのだ。3つの異なる土壌からワインを別々に仕込んだ。ヴォルカニック・ヒル、レッド・ロック・テラス、グラヴェリー・メドーがそれだ。その後、レイクが加わった。当初はカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造った。その苗木はボルドーの1級シャトーからひそかに購入したと言われる。今はメルロとカベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、マルベックがブレンドされる。
ワイン・スペクテーターのジェームス・ロビーは「カリフォルニアのカベルネ生産者のトップ5に入る。カリフォルニア・カベルネの個性豊かな魅力は、ダイアモンド・クリーク抜きでは語れない」と賞賛している。