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ピエール・ジラルダン | Pierre Girardin

コート・ド・ボーヌのワイン界で今、最も話題をさらう期待の新星

◆ワインアドヴォケート 掲載 記事 より ◆

齢 21 にしてコート・ド・ボーヌのワイン界に一大センセーションを巻き起こしたピエール・ ヴァンサン・ ジラルダン。

ボーヌの 新人ワインメーカーで彼ほど話題を さらった 醸造家は 殆どいないだろう。初めて訪れた ムルソーにある ジラルダンのワイナリー は、 非常に設備の整った醸造所とセラーを構えていた。最新の圧搾機や発酵タンク、フランソワ・フレール 社 の 大樽に至る まで、そ の モダンな醸造設備の全てに 対し 、 金に糸目をつけていない ことがハッキリとわかる 。

自社畑の面積は約 4.5 ヘクタールで、ネゴシアン事業も 手広く 展開している。 モンラッシェやシャンベルタンなどのアイコン的なアペラシオンを含む豊富なラインナップを取り揃え、創業当初から全力投球でワイン造りに 身 を投じてきたジラルダンは、業界トップのインポーターと手を組み、 意欲的 な海外代理店の発掘にも早々に取り組んで いる。この急激 な大成功の 裏 側 には、 コンパニー・デ・ヴァン・ドートルフォワに 自らの名前を冠したメゾンを売却し て 引退したピ エールの父、ヴァンサン・ジラルダンという「黒幕」が居ると 憶測する 皮肉屋もいる。そうでなければ、どうしてこんなにも若き醸造家が、これほど早急に造り手としての地位を固めることが出来 る だろうか 。恐らくピエールのネゴシアン物のキュヴェ は、かつて父親 のメゾン が手掛けてきたアペラシオン が殆どなのではないか…… というのが彼らの憶測だ。
だが、ピエール・ヴァンサンの体内には、間違いなくワイン造りの名手としての血が流れている。ピエールがワイン造りを始めたのは 15 の時で、当時 の ワインはネゴシアンに売却していた ものの 、それ 以 来 、長い 年月 をかけてワイン造りへの情熱を育んできた。父のアドバイスとコネクションが、ピエールが信奉するワイン造りの美学を確立する一助となったのは確かだが、ピエール のスタイル は、父ヴァンサンが従来手掛けてきたリッチでオーキーなスタイルとは全く異なるものだ。

ピエール・ヴァンサンの白ワインは、よりキメ細やか で還元的な要素があり、赤ワインは 、繊細で生き生きとした果実味を主体とする。コート・ド・ニュイのワインに関しては、抽出を最小限に抑え、果梗を多く残す醸造手法をとっている。新樽の比率は、年を追うごとに控えめにし 、そのために古樽をドメーヌ内に備蓄しているとピエールは言う。

今回試飲 したピエール・ヴァンサンの 2017 年 、そしてまだ瓶詰を終える前の 2018 年は、 非常に印象深い点が多く、白ワインは特に傑出し ており 、ピュリニィのフォラティエールとコルトン・シャルルマーニュに至っては、まさに特筆に値する。赤ワインも負けず劣らず魅惑的で、酒齢の若いうちから早々に愉しめる社交的なスタイルに仕上がっている。生き生きとした果実味を主体とする ピエール・ヴァンサンの赤ワインは、今後さらに独自のスタイルを確立してゆくに違いない。ブルゴー ニュで今、最も話題をさらっている新星ドメーヌが今後どのようにして進化を遂げてゆくのか、その軌跡を辿るのが待ち遠しい。

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