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カリフォルニアのワイン生産国、毎年の山火事の脅威に対応

北カリフォルニアのワインの産地での収穫時期は、憧れの結婚式を計画するために欠かせない。熟成したブドウの木と黄金の夕日がセレモニーを演出し、毎年何百万人もの観光客を魅了してる。

しかし、この地域では毎年山火事が現実のものとなっているため、収穫期と火災の時期が重なっている。

​過去4年間のうち、3年間は秋ごろの気候変動によって引き起こされた大規模な山火事が、世界的に有名な地域の一部を焼きつくし、人々が煙や炎、停電に影響を受けやすい事は疑いの余地がない。

先月、暑く乾燥した風の強い天候に再び見舞われたナパ・バレーでは、消防士たちが依然として火災を鎮圧しており、壊滅的な被害をもたらした。​米パシフィック・ガス&エレクトリック (PG&E) 社が、風が電線を吹き飛ばして別の被害を引き起こすのを防ぐために電力供給を停止したとき、何千人もの家が停電し被害を受けた。

​アッシュ・ミンテルンは、ガールフレンドへのプロポーズのためにフロリダ州タンパからワインの国へのロマンチックな旅行を計画していたが、燃えているワイナリーの映像や、家から逃げ出す人々のニュースを見た後、この旅を延期することにした。

​「人々が避難しているのを見たとき、危険を冒してまで旅行に行こうとは思わなかった。」とミンテルン氏は述べた。

​ミンテルン氏のような観光客の多くが、ワイナリーへの旅行の計画を躊躇しているため、観光経済に依存している地元の人々はこの状況に直面しマーケティング計画を再考し始めた。

「もしこの火事が毎年大きなニュースになるのであれば、人々はワイナリーでの長期のバケーション旅行の計画を立てたくなくなるだろう。」そう語るのは、今年ウェディング・ライブの予定をすべてキャンセルになった写真家のボブ・マクレナハン氏。

コロナウイルスの大流行は、すでにナパとソノマのホスピタリティ業界(観光産業)に打撃を与えており、ワインの試飲や大規模なイベントを中止した。

​ビジネスを一時的にクローズしたワイナリーは、すぐにバーチャル試飲会の開催やワインクラブの宣伝に関して方向転換した。​晩春には、レストランやワイナリーが屋外での飲食を再開し、ナパやソノマも徐々に回復し始めた。しかし、8月にはソノマの西とナパの東で、立て続けに発生した雷雨によって山火事が発生し、この辺り一帯は濃い煙に包まれた。

そして9月27日、セントヘレナの町の近くで始まった小さな火事は、風の影響を大きく受け、ナパ・バレーの緑豊かな丘を越え、谷底まで燃え尽き何百軒もの家を焼きつくし、その後、ソノマ郡に向かった。

​二つの火災は、昨年と2017年の壊滅的な森林火災の後に起こった。

​焼失や損傷の被害を受けたのは、その地域の最も象徴的な複数エリア

ミシュランの星を獲得し、庭園料理で有名なレストラン「Meadowood」は、階段と暖炉以外は無くなっていた。

​この火災は、中世の城をイメージしたワイナリーのカステッロ・ディ・アモローザの後方にある農家を崩壊し、ワイン10万本以上を破壊した。

​アモローザオーナーのダリオ サットゥイは「私はワイン業界で48年間働いてきましたが、今年はずば抜けて壊滅的で破壊的な、最悪の年です。」と話している。

北カリフォルニアにワイン愛好家を呼び込むブドウ畑やワイン醸造施設、試飲室の大半は被害を受けていませんがこの地域の火事のニュースは、ナパやソノマ全体のビジネスを脅かしている。

​これを受けて、州の観光当局は、火災の脅威が消費者の認識と行動にどのように影響するかを調査する研究に資金を提供した。​このエリアのピークシーズンを春頃にずらしていく計画もある。

​「ワイナリーが燃えているこの衝撃的な写真を見ると、地域全体が破壊され灰になっているように人々の目に映っている。」と、火災で焼けた部分の再建する計画を立てている豪華リゾート、メドウッドリゾートのマネージャー、デイビッド・ピアソン氏は語った。

​科学者たちによると、気温が上昇し雨が降らなくなったことで、植物や樹木が燃えやすくなり、山火事が急速に大きくなり燃え広がる状況になっている。​カリフォルニアの火災シーズンは早く始まり、鎮火が遅くなっている。​今年のシーズンは前代未聞の雷の包囲から始まった。​これまでに約9,000件の山火事で、410万エーカーが焼失し記録的な数字となった。​1万以上の建造物が破壊または損傷し、31人の火災関連の死亡者が出ている。

Visit Californiaの社長兼CEO、Caroline Betetaによると、2020年の山火事による長期的な影響を定量化するには時期尚早だが、この調査では、山火事が人々の州訪問の決断に影響を与えたかどうかを明らかにしようとしている。​非営利団体は今後数週間のうちに研究パートナーを選ぶ予定だ。

「アメリカ西部では山火事は昔から存在していました」と、彼女は話す。

​「火災は心配かもしれませんが、カリフォルニア州が住民や観光客に提供すべき全サービスを停止させるわけではありません。」

​現在、​過去の火災後のホテル稼働率の高さは、観光業が復活することを示唆している。​この地域では2つの高級ホテルチェーンが開業しており、他の数社はリゾート開発の許可を待っている状況だ。

しかし、ナパとソノマの観光当局は、秋は観光には不安定な時期になっているため、遠方から来る観光客には、冬季もしくは野花が咲く春頃に計画を立てるよう促すキャンペーンを開始した。

一方、今年の秋のビジネスに関してソノマ・カウンティ・ツーリズムは「物流市場」もしくは、近隣に住む突発的な旅行計画が可能な人々にフォーカスしたいと考えている。とクラウディア・ベッキオ会長は言う。

ウェディングプランナーの中には、ウェディングシーズンが以前より短くなることやシーズンが春になることを予想する人もいる。

​「雨は火よりも扱いやすい。」と語るジャニス・E・トゥーミーさん。今年は十数件の結婚式が延期や中止になった。

ヨーロッパのカップルからも、来年の結婚式の計画を立ててほしいとの依頼が来ているという。これは火災とコロナのパンデミックの影響が落ち着く兆候だろうと考えている。

​彼女は現在、山火事の保証を含むウェディング用の保険プランを追加することを勧めている。

「ナパは相変わらず美しくワイナリーは再開し人々は戻っている」と、メドウード・リゾートのマネージャーであるピアソンは言う。​「皆さんが私たちをサポートできる最善の方法は、ナパを訪問し、ワインを飲み、素敵な時間を過ごすことです。必ず事前に電話での連絡をお願いします。」

https://krcrtv.com/news/local/wine-country-adapting-to-annual-wildfire-threat

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