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マスター・ソムリエ協会の会長が辞任
セクハラ事件に対する激しい抗議、協会再建へ

最高レベルで有毒文化の不満に混乱しているソムリエ業界、 現在組織は11人のマスターソムリエを停職処分、すべての理事が辞任することに。

2020年11月6日(金)

マスターソムリエ協会米国支部(CMS-A)の会長は、11月6日(金)に辞任した。協会は、7人の男性マスターソムリエの活動を早期に停止し、この件について徹底的な調査をする旨を発表した。

協会は、認定を求めていた女性にセクハラをしたとして告訴されている。同日、さらに3人のマスターソムリエが停職処分となり、すべての申し立てを調査するため独立した外部機関を置いた。

「我々は、改善されたCMS-Aが、教育を受け懸命に取り組んでMS資格を取得する人達をより守るために、組織の存在と誠実さの保証が唯一の道であることに同意します。」と副会長の バージニア・フィリップは、金曜日にすべてのマスターソムリエ宛てに送った手紙の中に記している。フィリップは組織移行を監視した。CMS-Aの会長を一時的に引き継いだデボン・ブログリーは、彼自身の不適切な行動の疑惑が公になる前に、ソムリエ業界の多数のメンバーが、彼の退任を求め辞任した。協会は11月11日に、提案された改善案と新しい理事の選挙スケジュールについて、メンバーと話し合う予定。

11月8日(日)

協会は、継続的な批判を受けて、新しい15名の理事メンバーが選出され次第、現メンバーは辞任すると公に発表した。

NYタイムズの記事は、21人の女性から6人の男性ついての痴漢、露骨な文章を送る、仕事を優位に得ることの引換としてセックスを強要する、そしてレイプまでもの詳細な被害を報じた。被害の多くは、協会系列下のギルドソム社(GuildSomm)の代表であるジェフ・クルスを中心としていた。彼はその後、代表を辞任しマスターソムリエの称号を剥奪された。この記事により、他の5人の男性に関する更なる被害が、協会倫理規定ホットラインへ報告された。

この記事について協会の最初の反応は、多様性支持への曖昧な陳述、ハラスメントは反対、クルスとの親密な関係は否定、ソムリエ業界の多くのメンバー(男女共)が離れたこと、問題のある文化と呼ばれることに十分に取り組んでいたが満足はしていないことなどだった。

サンフランシスコにあるマイケルミーナのマスターソムリエ、ジェレミーシャンカーは、「私にとってこれは、心からの謝罪ではなくダメージを抑制することのように感じました。私達が望んだ協会の責任者の言葉ではなく、広報担当者が企画したもののように感じました。」

11月1日タイムズ誌で特定された13人の女性への正式な謝罪と5名のマスターソムリエの停職処分をしたにもかかわらず、協会は人々の高まる怒りを鎮めることはほとんどできなかった。

「“協会とギルドソム社”は、事件が公になる前にその問題に対処する十分な時間が与えられていたのに、準備が整っておらず、より綿密な行動計画がなかったことに非常に驚いています。」とレイチェル・ヴァン・ティル。

その同じ週末に、現在北米でマスターソムリエの称号を保持しているすべての女性(158人のマスターソムリエのうちの27人)は、協会の改革を要求する共同レターを送った。そこには、11月11日の新理事の選挙スケジュールについての会合中止、協会規約の徹底的な見直し、倫理規範、透明性向上への取り組みなどが記されている。

「まさに女性に危害を加えるところです。多くの女性が、傷つき、いじめられ、虐待され、無視され、歓迎されず疎外感を感じています。」とマスターソムリエ、ジル・ジモルスキーは、自身のインスタでさらなる行動を呼びかけた。

「これは始まりです。心からの謝罪、改革の約束、協会再編成、再構築、協会をクリーンに!!」

その後一週間以内に、少なくとも3人の女性が、誰もが一度は切望する資格を放棄することに抗議した。ワイン業界で稼ぐことに何年もかかり、その資格が名声と大きな収益両方を運んでくれた。パスカリーヌ・ルペルティエは、次のようにコメントした。「協会では、誠実な方が内部から変革に取り組んでいますが、今は一度立ち止まり危機的な状況を内省する時だと思います。私は、今後ソムリエ業界の向上を後押しするために、どうプラスの影響力になれるかを考えています。」

アルパナ・シンは、協会の再建を支援したいと考えている女性たちと一緒にいることを検討したが、次のように自身の考えを説明した。「問題は協会を救済できるかどうかではなく、むしろそうするに値するのかです。人種差別、性差別、階級主義、同性愛嫌悪、エリート主義の体系的な問題は、この組織のDNAに深く埋め込まれており、その基盤から良いものを再構築することはできません。まずそれを解体して、新たにスタートする必要があります。」

しかしクーパーズホークワイナリー&レストランのマスターソムリエ、エミリー・ワインズは、組織を内部から再建する手助けをしたいと考えている。「私は今、特に女性として介入することが重要だと感じています。人はより多様性を見たいと思っています。私が一度立ち止まり、内部の男性達を改心させたら、再建の一環を担ったと思いませんか?」とワインズ。

日曜日の時点で、トレーニングと認定のさまざまな段階にある約1,100人の女性と男性(18人のマスターソムリエを含む)が、理事メンバー全員が辞任するまで、協会の今後の講座と試験のボイコットを求める嘆願書に署名した。

嘆願書は、セクシャルハラスメントの件だけではなく、2018年の試験の不正行為に対する理事会の対応と今年初めのBIPOC(黒人、先住民、有色人種)に対する「明確な支持を表明できなかった」ことにも言及した。

「何度も陰険で卑劣な行為をしたことが証明されたとき、主導者はその地位を辞任すべきです。」と、元ソムリエ兼ワインディレクターであり、現在はマヤカマス・ヴィンヤーズの営業部長であるリズ・ヒュッティンガーは述べている。

金曜日に発表されたCMS-A計画は、日曜日の発表で改訂された。次の理事メンバーの選挙の延期、すべての現メンバーは新理事15人のメンバーの投票ができること、新しい理事会は、新会長と新副会長を選出し、常勤のCEOを雇用し、協会規約と倫理規範を改訂すること。倫理報告ラインを通して受け取った性的違法行為の報告に基づいて、マスターソムリエの活動を停止した状態であること。そしてすべての申し立てを調査するため、雇用法と職場調査のスペシャリストで弁護士のマーガレット・ベル(Margaret Bell)を雇用したことを発表した。

金曜日の午後、ブロイはソムリエメンバーに、「マスターソムリエの悪質な行為によって、人生とキャリアに悪影響を受けたすべての女性に深くお詫びします。私の努力が足りなかったことを認識しています。組織の方針を変えるために最善を尽くします。」と謝罪した。

金曜日の夜、NYタイムズ誌は、マスターソムリエ試験のために勉強していた元学生が、ブロイと不適切な性的関係を告訴したと報じた。協会はその記事についてまだ声明を発表していません。

シャンカーは、「協会が唯一存続できるチャンスは、合法で信頼できる実体と“完全なる再建”です。もはや自分自身を取り締まる組織になることはできない。」と語った。ヴァンティルは、「理事は辞任しなければならない。彼らが失敗したとか、単に失敗と認識されただけなのかは、実際には問題ではありません。マスターソムリエ業界の信頼を失ったということです。権力を握っている限り、今後のいかなる決断も信用できません。」

レストラン業界に焦点を当てたエンパワードホスピタリティ団体創設者兼社長のサラ・ディールは、「ソムリエ業界内の問題が明るみに出るまで、なぜそんなに時間がかかったのですか?この5年間で流れは変わっています。より多くのレストラン経営者は、従業員が働きやすい店づくりを試みています。また個人事業主は、皆が心地よく働けることを目指しています。」「従業員であろうと専門職間であろうと、誰かが他の個人に対して持つ力が大きければ大きいほど、前に進むのはより脅威です。今回のケースは、力の不均衡が非常に極端でした。」

ヒュッティンガーは、「高い基準を設けること、マスターソムリエという職業の尊敬を獲得することは、組織を再建させることに十分な変革でしょうか?世界は変化しました。マスターソムリエ協会は、共に変化しなかった。それが報いだと思います。」彼女は、悪い文化と慣行の変革を期待しているが、組織を完全に解散して一から出直すという呼びかけに葛藤を感じている。「協会が本当に抜本的な改革を起こさなければ、たとえ解散しなくても、私達とは(すでに変化をしているので)無関係な存在になるでしょう。同じような有毒文化に巻き込まれるつもりはありません。」

https://www.winespectator.com/articles/court-of-master-sommeliers-chairman-steps-down-after-sexual-harassment-scandal

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