コタを飲まないとシャヴィニョルを極められない
フランソワ・コタは、サンセールの隣村シャヴィニョルにドメーヌを構える。基本的造りはパスカルと変わらない。
農薬や化学薬品を使わない有機栽培。認証は得ていないが、ビオロジックを実践している。平均樹齢は45年と高い。収穫は遅いため、アルコール度は上がる。2011のラ・グランド・コートやレ・モン・ダネは14.5%に達した。それでも、不自然なアルコール感はなく、バランスは良い。
レ・モン・ダネは、チーズのクロタンで有名なシャヴィニョル村にある急傾斜の畑だ。機械は入らないため、ウィンチを使って作業するしかない。表土が薄いため、果実味とミネラルが凝縮した小粒のブドウが収穫できる。熟成は酒石のびっしりついた古樽で行われ、微妙な酸化によって、独特の風味をまとう。
単一畑のワインを始めたのはコタ家が初めて。カイヨット、レ・クル・ド・ボージュ、レ・モン・ダネなどのワインは、テロワールの違いを明確に表現している。シャルドネと間違えそうなエキゾチックな香りとハーブの清涼感が入り混じり、アルコールに負けない酸がワインを支えている。10年は軽く熟成できるワインだ。
フランソワとパスカルのワインのどちらが勝るか。これは難しい問題だ。好みの違いとしか言いようがない。フランスの有名な評価本「クラスマン」はかつて「生産量が少ないが、水準は驚くほど高い。コタを飲まないとシャヴィニョルを極められない」と評した。