モナストレルで実現する高品質
急速に進化するスペイン。ブドウ栽培のポテンシャルは、フランスに劣らない風土がある。安易に国際品種に走らずに、土着品種を追求する生産者が増えている。
ボデガス・カルチェロもその一つだ。ワイナリーのあるフミーリャは、スペイン南東部ムルシア州に位置する。年間降雨量が300ミリで、寒暖差の大きい大陸性気候。年間の日照量は3000時間と長い。濃厚でブレンド用に使われてきたが、カルチェロが設立された1980年代から、高品質のワインを造る生産者が出てきた。
世界で評価される国際スタイル
フランスのムールヴェドルに当たるモナストレルから、骨組みや濃厚さだけではない、洗練された赤ワインを造る。飲みやすくて、さんさんと輝く太陽が感じられるワインは、だれが飲んでもおいしいと思わせる。シルキーなタンニンと、しっかりした果実がきれいに調和している。醸造担当のホアキン・ガルベスはチリ出身でカリフォルニアやアルゼンチンでもワイン造りを経験した。国際スタイルのワインに求められる洗練された味わいをよくわかっている。
生産量の90%は輸出に回され、フランスは重要な市場だ。フランスの同じ価格帯のワインと比べると、2倍以上の品質を有すると評価されている。それは世界市場でも同じこと。イギリスの評論家ニール・ベケットの「死ぬまでに飲むべき1001ワイン」で紹介され、ワイン・スペクテーターでベスト・ヴァリューに取り上げられた。カルチェロは柔らかい果実と口当たりが心地よく、アルティコ・シラーはスパイシーな風味と細やかなタンニンが印象的だ。