無名産地のワインを発掘
ホルヘ・オルドニェスは、アメリカのスペインワイン市場を確立した立役者だ。1987年に輸入会社ファイン・エステート・フロム・スペインを設立し、無名産地の高品質ワインを発掘。自らもワイナリー経営を行っている。
ルエダ、リアス・バイシャスなど、各地から輸入するワイナリーの数は40以上にのぼる。品種も、スペインを代表するガルナッチャ、テンプラニーリョ、モナストレル、メンシアのような黒ブドウから、ヴェルデホ、アルバリーニョまで幅広い。そのどれもが、産地のテロワールを表現しており、樹齢100 年のワインも含まれる。それでありながら、価格は驚くほど安い。
毎年、数千本のワインを試飲するロバート・パーカーは年末に、その年のベストワインを発表する。2013年の「最大のお買い得」に選んだのは、ボデガス・ボタニの白ワイン、ボタニ 2012(18ドル)だった。
節約家の消費者に届けるバッカスからの贈り物
パーカーは「ホルヘ・オルドニェスはスペインの素晴らしいワインの標点を確立した人物と言っても過言ではない。節約家の消費者に届けられた、バッカスからの贈り物だ」と、賛辞を贈っている。
輸入するワインはすべて温度管理されたリーファーコンテナで輸送される。ワインにはサーモ・レコーダーをつけ、ワイナリーからアメリカや他国の販売業者にわたるまで、温度を追跡管理している。完璧主義なのだ。
アメリカで神話的な地位を築いたオルドニェスの名声は、2012年ノーベル賞の晩餐会で世界に知れ渡った。自ら手掛けるワイナリー・ホルヘ・オルドニェス・アンド・カンパニーのヴィクトリア No.2が、スペインワインで初めて供された。パーカーポイント95点のデザートワインだ。シェリーで有名なアンダルシア地方マラガで生まれ育ったオルドネスは、地元産マスカットの甘口ワインも手掛ける。
ホルヘのワインを端から飲むのが、スペインワインの全体像を最も手軽に知る近道となるだろう。