Columnコラム

新世界の御曹司

ワインのジャンルを大まかに分ける分類の一つに「オールドワールド」と「ニューワールド」がある。

前者は言うまでもなく紀元前からワイン作りをしていたであろう産地である。

後者の定義については曖昧ではあるが一般的には15世紀半ばから17世紀まで続いた大航海時代によって新たにワイン作りが広がった産地を指す。

ブドウの植樹からそれぞれの国がワイン作りを奨励してそれが一般的になるまでにタイムラグがあるのだが1500年代にはペルー、アルゼンチン、アメリカ、チリ。1600年にはインド、1659年は南アフリカ、1788年にオーストラリアにブドウ園が設立された。ニューワールドに分類される国々はこの辺りからであろう。

そしてそのあと少し時を経て1811年にカナダ、1819年にニュージーランド、そして我が日本では1874年にワイン作りが始まった。

ブドウ樹は地に深く根を張りそこから様々な養分を吸って育つ。もちろんその根は深いに越した事はないし、紀元前からワイン作りを行ってきたオールドワールドのワインは深みがある、と言うのはもちろん納得が言える。ただそれ以上にニューワールドのワインでありながらも国際的な高評価を得て一躍スター産地に成り上がった国がある。

それがニュージーランドだ。

同国が世界的な注目を浴びるようになったのは1980年代のソーヴィニヨンブランの登場と1990年代のピノノワールの登場なので、まさに「遅れてきた大物」である。

遅れてきた、というよりかは満を辞したと言う方が的確であろうか。若い醸造家たちがボルドーやアメリカで最新の醸造栽培を研修して比較的安価なこの地に可能性を見出して進出し、それが大きな成果となったのだ。

ニュージーランドを代表するピノノワールとソーヴィニヨンブランの最大の特徴はオールドワールドとニューワールドの両方の面を持ち合わすという点である。ピュアながらも凝縮したフルーツが前面にあるが決して重たいわけでもなく、様々なフレーヴァーの要素が溶け込む、とても魅力的なワインだ。

近年ではボルドーブレンドでも素晴らしい産地が注目されているし日本人の作り手も多く、応援したくなるワイン産地だ。価格的も手を出しやすいものが多いので、ワインショップでニュージーランドのワインを見つけたら是非試してみて欲しい。

特にこのデルタワインカンパニーは非常にコストパフォーマンスが高いし、ニュージーランドのワインは90%以上がスクリューキャップを採用しているのでブショネの心配もなく、取り扱いも容易なので是非お勧めしたい。

2019 Delta Hatters Hill Pinot Noir / Delta Wine Company

輝きのある淡いルビーの外観。

黒果実のたっぷりとした香りにタイムやオレガノ、黒オリーブのニュアンス。

シャープな酸がありながらも全房由来によりたっぷりとしたボディが形成される。

非常に料理が欲しくなるピノノワール。

ニュージーランド特産である子羊にたっぷりとハーブを効かせてグリエして軽く火を入れたプラムとタプナードを添えて食べたい。

ぜひお試しください。

Delta Wine Company

メゾンドタカ芦屋 朝倉達也

戻る