今回は少し変わったワインのご紹介です。
2018 Avancia Cuvee de O Godello
このゴデーリョというブドウ(現地ではゴデージョと言ったりもするそうです)、あまり耳にすることのない品種かもしれません。こちらはスペイン・バルデオラス地域で古くから存在したブドウですが、一度絶滅の危機に瀕したブドウなのです。
というのも、スペインでは荒廃したブドウ栽培を立て直すために大量供給を目的とした協同組合が多く設立され、その結果栽培しやすく大量の果実をつける品種が好まれて栽培されていた時代があり、そのあおりを受けたブドウなのです。
このバックグラウンドにはスペインの内戦や第二次大戦の影響があり、正直私も完璧には理解ができていませんが、歴史に翻弄され消えそうになったブドウを小さな農家がもう一度植えはじめ、40年かけて復活させ、その結果この地方を代表するブドウとなったと聞くとそれだけでロマンを感じませんか。
このワインはホルヘ・オルドニェスとボデガス・ゴデヴァルの協同事業として2007年に設立された蔵元の自信作。ゴデーリョは斜面上で栽培されたものほど高級とされますが、粘板岩質の強い土壌の北向きの山腹斜面で栽培され、昼は暖かく夜は冷涼な気候のもと育ったブドウは、成熟感と高い酸を蓄えたバランスの良いワインに仕上がるのです。
醸造は20%は使い古したフレンチオークの大樽で、残りはステンレスタンクで野生酵母を利用し自然発酵。レモンのようなフレッシュな香りを残しつつも、リッチで粘性のある白桃のような甘み、ややスパイスや苦みを感じさせる奥行きのある余韻は土着品種の旨味と醸造技術の織り成すハーモニー。
国際品種は万人に受け入れられやすい魅力ですが、時にはこういった土着品種を味わいながらその土地に思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。
とりあえず私はスペインの歴史を勉強しなおそうと思います。
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