イスラエルは四国と同じ程度の広さの国土に土壌も気候も異なる5つの産地がある。ガリル・マウンテン・ワイナリーがあるのは、最北部ガリレアのアッパー・ガリレア。レバノン国境が肉眼で見える丘陵地帯で、火山性土壌とテラロッサが交じる。標高1000メートル以上の冷涼な気候を生かして、一般的な暑いイメージとは異なる緊張感のあるワインが生まれる。
このワイナリーは、ゴラン・ハイツ・ワイナリーとキブツ・イーロンが2000年にジョイント・ヴェンチャーとして設立された。いわば姉妹ワイナリーだが、ゴラン・ハイツよりはるかにモダンだ。ナパヴァレーの先端ワイナリーを連想させるモダンな施設を備えている。太陽光発電で電力をまかない、効率的な排水システムを導入し、エネルギー消費の削減に努めている。

ゴラン・ハイツを世界舞台に引き上げたワインメーカー、ヴィクター・ショーンフェルドのアドバイスも受け入れながら、国際市場で通用するモダンでエレガントなワイン造りに取り組んでいる。その実力を示すのが、コンクールの受賞歴だ。フランスのシタデル・デュ・ヴァン、ドイツのムンドゥス・ヴィニなどで入賞している。

シラー主体にカベルネ・ソーヴィニヨンとプティ・ヴェルドをブレンドした「メロン」は、2011年がムンドゥス・ヴィニで金賞。ボルドー・ブレンドの「イーロン」も、2011年がムンドゥス・ヴィニで金賞に輝いた。２つの赤ワインは、アッパー・ガリレアの複雑な土壌と寒暖差の大きい気候を映すテロワールのワインだ。シャルドネにヴィオニエをブレンドした「アヴィヴィム」はリッチでフルーティ。どれもイスラエルのポテンシャルを見せつけてくれる。