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世界最大のコルク栓製造会社、画期的なTCA除去システムを開発

db (The Drinks business)は、世界最大のコルク栓製造会社であるAmorim(アモリム)が、18カ月前に(年間55億個以上製造)コルクの検出可能なTCA *をすべて除去するという約束を果たしたことを、独占的に明らかにしました。

* TCA(トリクロロアニソール)は、コルクに由来する可能性のあるワインの腐敗化合物です。 それはワインに、湿ったダンボールの香りを与える傾向があります。AmorimのTCAフリー保証とは、コルクにTCAの残留物がある場合、それは人検知の基準値を下回っていることを意味します。

このニュースは先月、顧客が追加料金なしで、すべての製品から検出可能なTCAを除去するための費用効果が高い技術を開発したと、Amorim会長António Riosとの会談から明らかになりました。

Amorimが天然コルク市場のほぼ半分を占め、またすべてのワイン栓総生産量の30%を占めることを考えると、コルク栓市場にとっては大きな出来事です。

Antónioはこの開発の詳細を明らかにしませんが(当然のことながらコルク栓市場の競争を考慮して)Amorimは、“ batch-based テクノロジー”を使用してTCAをすべて除去する新しいシステムを、2020年年末までに準備ができるとdbに語りました。

天然コルク購入者に “ TCAフリー保証 ” を提供する品質管理アプローチのNDtechスクリーニングプロセスとは異なり、最新の技術開発はすべての対象に対して一律に適用できるTCA除去技術が含まれています。

「この技術はNaturity(ナチュリティ)と名付けました。プロセスで人工元素が使用されないためです。現在準備ができていますが、1月1日に正式に発売されます。」とAntónioが伝えました。Amorimからコルクを購入するワイナリーにとって重要なことは、この開発から生じる追加料金がないということです。

Naturityの採用は、António が18カ月前にdbとの会談でコミットしたことです。歴史的なアモリム家の一室に座りAntónioは、次のように述べました。「Amorimは、2020年までにTCAを根絶します。これは、設立から150年を迎える当社にとって歴史的な出来事になるでしょう。」

先月、Antónioは前回の会談を振り返り、次のようにdbに述べています。

「あなた方は、私達が設定した目標を最初に知らされました。その声明を見逃したくありません。」後日dbは、このニュースをthedrinksbusiness.comで取り上げたところ、世界中のワインコミュニティからAntónioへ興奮した問い合わせが殺到しました。

だが忘れてならないのは、2018年7月にAntónioが約束をしたとき、AmorimはTCA除去の新しい技術開発のかなり前の段階にあったということです。その時点では、ROSAと呼ばれる潜在的なワイン腐敗菌をはがし取る蒸気洗浄システムと、NDtech (先駆的なスクリーニングシステム)コルク栓をスキャンしてTCA汚染のあるコルクを除外する( TCAフリー保証 を顧客に提供する)システムがありました。

ただし、後者の画期的なシステムは、スクリーニング技術が1個1個のコルクをスキャンするため時間がかかり、特別なクラスの高価なコルクのために使用されていました。これは何十億個ものコルクには適用できないプロセスです。それは常にAntónioの計画にあったTCAフリーの約束の拡大につながりました。彼が18カ月前に言いました。「2020年までに市場に出すすべてのコルクに対して保証します。」と。

今年11月の会談に話しを戻しますと、Antónioは次のように述べています。「凝集したコルクに使用される粒状のコルクからワインの腐敗化合物を除去することは、以前から可能でありましたが、一体型の天然コルクは課題がありました。問題は、テクニカルコルクではなく、天然のコルクでした。今年はNDTechで8000万個のコルクを通過させますが、すべての製品を保証する必要があります。そのためには、それほど高価ではない技術開発をする必要がありました。」

最後に、このトピックについて、ワイン栓の開発に注意深くフォローしている人は、今年(2020年)初め、別のポルトガル企業がTCA除去システムの開発を発表し、7月にコルク業者のすべてのコルクがTCAフリーになる(追加料金なし)、と述べたことを思い出すかもしれません。

InnoCork回路と呼ばれるこの回路は、材料の自然な特性を損なうことなくワインの腐敗化合物を除去するような方法でコルクを蒸気処理します。しかし、大きな違いは適用できる規模です。コルク業者は年間約6億個のコルクを製造しており、Amorimの約10分の1です。言い換えれば、Amorimが最初に発表したわけではありませんが、その開発の影響ははるかに大きくなります。したがって、今日のTCAの発生率が非常に低いとしても(推定では、1,000個のコルク栓で1個未満であることが示唆されています)Amorimの技術は、市場に出回る可能性のある汚染されたワインボトルの数を、劇的に減少することを意味します。そしてそれは、何百万個という単位です。

タイプ別のワイン栓市場

合計:195億個

コルク:125億(Amorim:55億)

スクリューキャップ:51億

プラスチック:19億

出典:Amorim

17th December, 2020 by Patrick Schmitt

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