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世界三大酒精強化ワイン ポート編

ソムリエ朝倉達也です。

今でこそ当たり前のように皆様が楽しんでいるワインですが、初めて日本にワインが輸入されたのはいつかご存じでしょうか?

時は13世紀、エンリケ航海王子によって開拓されたアメリカ大陸の植民地化やヴァスコダ・ガマによってインド航路が発見された大航海時代のこと。
インド航路の発見はポルトガルに莫大な富をもたらし、その後航路を更に東に広げ、遂にポルトガルは我が日本に到達したのです。

そう、いわゆる「南蛮貿易」の時代です。
織田信長などの当時の有力な大名はこの貿易を利用し、銃などの西洋の兵器を戦いに導入し、勢力を広げていったのです。
そしてその貿易で輸入されたもののひとつとして、ワインがあったのです。

スペイン語で赤(red)を意味するtintoに由来して、当時赤ワインは「珍陀酒(ちんたしゅ)」と呼ばれたそうです

ポート=「港」

そしてこのポルトガルを代表するワインこそがポートワインなのです。
ドウロ河と呼ばれる巨大な河川の流域でこの特別なワインは製造されこの河の河口にある都市、ポートで熟成したのちに販売されるのです。
ポートは「港」を意味し、そこから世界に向けて輸出されたことからこの名称となりました。

 

テロワール由来の熟成したブドウ

 

ドウロ河はとても勾配のあるテラスとなっており栽培地の半分が勾配30度以上となっています。夏には40度近くまで気温があがりブドウは非常に高い熟度に達します。

ブドウは収穫後に除梗、破砕され発酵槽で2~3日発酵と醸しを行います。

 

目指すスタイルに残糖が達したら77%のグレープスピリッツを加え発酵を止めます。
そこの様々に存在するタイプに向けて熟成をさせてゆくのです。

大きく分類するとルピータイプとトゥニータイプに分類されます。
ルビータイプは平均3年間の熟成後に瓶詰めされる比較的若く、早飲みタイプのポートです。

このルビータイプのスペシャルタイプとして

Vintage Port~特に作柄が優れた年に作られる単一年号入りのもの

Late Bottled Vintage Port(L.B.V.)~ヴィンテージにこそ達しないがそれに続くであろう作柄からのもの

Single Quinta Vintage Port~良年の単一畑によってつくられるもの

などが挙げられます。

トゥニータイプは小さい樽で熟成をさせ、酸化を進ませて特徴的な香りや味わいにさせたものです。トゥニーとは黄褐色を意味します。

このトゥニータイプの中にも

Colheita、Garrafeiraと呼ばれる長期の熟成を経たスペシャルタイプがあります。

 

全てにおいて魅力的なドライフルーツ、アプリコット、サルタナレーズン、ドライフラワー、タバコやチョコレート、スモークの香りを持ち甘美な甘みは食事の終わりには最適です。
もちろん酒精強化を行っているので抜栓してからの保存性も抜群です。
王道ではアイスクリームにかけたりするのも良いですが、プルーンを詰めた豚肉や、酢豚などの相性も面白いかもしれませんね。

ソムリエの方もそうでない方も、ペアリングで行き詰まった時にこそ、酒精強化ワインをためしてみても面白いのではないでしょうか?

さて、次回は世界三大酒精強化ワインの3つ目、マディラについて書かせていただこうと思います。
次回の記事もお楽しみに!いつも見てくださりありがとうございます。

 

ソムリエ 朝倉達也

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