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シェリーの魅力とその楽しみ方

ソムリエ朝倉達也です。

今回は酒精強化ワインの代表格の一つ、シェリーについてのお話です。
シェリーはスペイン南西部、アンダルシア州の大西洋沿岸で造られる酒精強化ワインの一つです。

ここは地中海性気候であり、葡萄は非常に長い時間の太陽の恩恵を受け、成熟します。
シェリーを生産する畑のほとんどはAlbariza(アルバリザ)と呼ばれる炭酸カルシウムを25%以上含有している真っ白な石灰質の土壌であることが特徴です。この土壌は多孔性のため保水性に優れ、秋から春に降る雨を地中に溜め、乾季である成長期に根に水分を供給することが可能となります。
ですので非常に暑く乾燥した畑でありながらも葡萄は健全に育つのです。

ソレラ・システム

シェリーを熟成する際には「ソレラ・システム」と呼ばれる独自のシステムが採用されています。
上の写真のようにワインが入った樽を床から積み上げてゆくのですが、一番下には最も熟成年数の古い樽を、その上にはその次に古いものを、、、という風に樽を積み上げ、最上段には最も若い年代のワインが置かれます。

そして瓶詰めする際には最下段も樽から瓶詰めをします。瓶詰めをして目減りした量だけ上の段から液体を補填します。
そして更にその上、、、といった風に複数の年代のワインをブレンドすることで、味わいの安定化、複雑化を図るというのがソレラシステムの目的です。

フロール

そしてシェリーを特徴付けるもう一つの存在が「フロール」です。
樽にワインの保存する際にあえて満タンにせずに上部に空間を空けることによってフロールと呼ばれる産膜酵母が表面に発生し、これが独特の風味を生成するのです。

シェリーは熟成の過程の中で官能検査が行われ、その味わいをもとに産膜酵母と共にそのまま熟成を行うもの、産膜酵母を除いてあえて空気に晒して熟成をさせるもの、、など様々なステージに分類させてゆきます。

辛口タイプでは
Fino
Manzanilla
Oloroso
Palo Cortado

中間の甘さのタイプでは
Pale Cream
Medium
Cream

そして極甘口として
Moscatel
Pedro Ximénez

といった名柄として分類されてゆきます。

シェリーのブームの歴史

シェリーの最大の市場は消費量こそ推移があるが今でも昔でも英国であり、1950年代から1960年台はシェリーブームが起こり、1970年から1985年まではシェリーは黄金期と呼ばれるほどの盛況を誇りました。
だがその勢いも2000年代に入ると徐々に減少傾向が見られ2010年には2000年に比べ50%も輸出量が減少。

シェリーブームに火をつけたのは間違いなく甘口タイプであり、少し前までは甘口シェリー=年配の方が飲むもの、というイメージでしたが、今日では辛口のものが多く認知されており、逆に甘口のものはカクテルベースとしてミクソロジストたちの間では人気があるのだそう。

シェリーやマディラのようなあえて空気に曝して熟成をさせるようなワインは紹興酒に近い味わいであるので、個人的にはチャイニーズフードとはとても良い相性だと思います。

あまり馴染みのないタイプかもしれませんが非常に魅力のあるシェリー。
皆様もワインショップや百貨店などで見かけた際には是非試してみてください。

きっと新しい世界が広がると思います。

朝倉達也

 

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