少しずつ秋の気配が強くなってきました。
山も少しずつ色づいてきて、秋の食材もどんどん市場で見かけるようになりました。こうなると一気に赤ワインが美味しい季節である。
旬の食材というものは自然の循環というもので、
春=芽吹くもの(山菜など)
夏=木になるもの(緑黄色野菜)
秋=木から落ちるもの(栗など)
冬=土の中のもの(根菜、きのこ)
といった形で食材にも旬のサイクルがある。
秋の食材の多くは土の香りを持つものが多く、合わせるワインもフレッシュ感があるよりかは落ち着きのあるものが好ましい。
ある程度の熟成期間を経たワインのことをバックヴィンテージワインと呼ぶが、ご自身で飲み頃を正確に経たバックヴィンテージワインを探すのはなかなか難しいです。
だが、そういった時に最も重宝するのがスペインワインなのである。
なぜならスペインワインはワイン法の規定により法的熟成期間の規定がある。それにより市場にリリースされる時には長いものではミニマムで5年以上の熟成を経たものも多く、買った時に既に熟成感のある味わいが約束されたものが多い。
2004 Dehesa La Granja Dehesa 14
今回のワイン「2004 Dehesa La Granja Dehesa 14 」は既に17年の歳月を経ており、赤みがかったガーネットカラーの外観、フレッシュフルーツの香りよりもより発展的で複雑な香りが立ち上がりから顕著に感じられる。
イチジクやドライプルーン、新樽由来の乾いたユーカリのニュアンス、なめし革や落ち葉、カカオの複雑さが重なる非常に魅力的な香り。
厚みもあるが落ち着いて非常に調和の取れた垂直的な広がりの味わい。
アフターに樽由来の清涼感が残り、温度感ではない少し冷たさを感じる余韻。
木から落ちてゆく葉を眺めてるような儚さのあるフィニッシュ。趣のあるワイン。
熟成感のある丸い味わいということで、紹興酒などを用いた中華料理がおすすめ。例えば紹興酒や八角を効かせた台湾的な豚肉の煮込みなど。
こんな風に飲んだ時にすぐ料理が思い浮かぶワインはソムリエ的には凄く重要だし、飲んでてワクワクする。
若いうちに自らで購入して、セラーでワインを育てるのも良いが購入してすぐに熟成感を楽しめるスペインワインもまた面白い。
あまり熟成したワインに触れる機会がない方に是非おすすめしたい。
きっとその魅力の片鱗に触れるのではないかと思う。
メゾンドタカ芦屋 朝倉達也