ソムリエ朝倉達也です。
どんどん気温が上がり、夏が近づいてきますね。
20代の頃は夏といえばビール!ってな感じで暑い夏はガンガン飲んでたのですが、30代半ばに差し掛かるともう1杯で勘弁して、、ってなってきました(笑)
この世間の状況も考えるとビアガーデン、夏祭り、夏の風物詩も今年も開催できなさそうな雰囲気ですね。
なので皆様仕方なく(僕は好きですが)おウチでワインを飲みましょう!
僕は夏になるとやはり太陽が降り注ぐ地域のワインが飲みたくなります。
例えば地中海性気候のエリアのものとか、緯度の低いところであるとか、、です。
そして夏に食べる料理はさっぱりしたものが多いですよね?
ワインも太陽をいっぱい浴びたエリアの複雑すぎずシンプルに果実のピュアさを楽しんだり、喉を潤すようなものが美味しく感じられるのではないでしょうか?
2018 Tinto Pesquera Crianza / Familia Fernandez Rivera
今回紹介するのはこちらのワインです。
創業者アレハンドロ・フェルナンデスの熱い情熱で当時まだ無名に近かったリベラ・デル・ドゥエロという地域は1982年に原産地呼称を獲得しました。
1985年に彼のワインを飲んだロバート・パーカー氏が
「これぞスペインのペトリュス!」と絶賛したことで彼のワインは瞬く間に世界中に広がったのです。
現在ペスケラは4つのボデガ(醸造所)から成るグループ企業ですがこれだけ大きな規模にも関わらず発酵中にはタンクの外側から水をかけるとか、フィルターを使わず伝統的な沈降法で沈殿物を除去しています。
これらの作業には大変な労力と時間、コストがかかるのですが大規模ワイナリーでこのプロセスを遵守するのはとても高い意識とこだわりがないと実行できません。
SO2の添加も低く、天然酵母を選択している事からもこのチームがとても自分たちの仕事と栽培、ワインに自信を持ってる事もうかがえます。
スペインワインは法律により樽と瓶での熟成期間によってラベル表記が異なってきます。
このCrianzaという表記は赤ワインは最低24ヶ月以上(うち6ヶ月以上は樽熟)という規定があり熟成カテゴリの中では比較的早いタイプのものです。
ワインはもちろん長期熟成をすることにより複雑な香りが現れたり、タンニンや酸などの味わいが統合するというメリットもありますが初夏でしたらまだこのくらいの果実味が残ったタイプが美味しいと思います。
深みのある赤みがかったルビーの外観にブルーベリーや黒胡椒、ウイキョウのような清涼感にカマンベールチーズの皮のような香ばしさが加わる香り。
中程度の溌剌とした酸味を伴う辛口、タンニンは多く口内に張り付く印象。
香りの印象と同じようなフルーツのフレーバーが中盤まで続き、アルコールの高さを感じさせない果実味が全体を覆うようなフィニッシュへと継続されてゆきます。
樽に由来するスモーキーさも良いアクセントとなっています。
炭火でのBBQやバーナーで食材を焦げ目をつけた料理が面白そうです。
個人的には豚肉でしょうか。燻製の香りでハーブを添えて塩胡椒で試したくなります。
創業者アレハンドロ・フェルナンデスは88歳でこの世を去りました。
彼への追悼の想いを込めて今回はこのワインを紹介させていただきました。
もちろんペスケラの本骨頂でいえば長期熟成タイプです!皆様ぜひ上のキュヴェも試してみてください!
ではまた次のコラムでお会いしましょう。
メゾンドタカ芦屋 朝倉達也