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ワインと料理の合わせ方②ph編

こんにちわ、ソムリエ朝倉達也です。
前々回のコラムでは料理とワインを合わせる際の導入口について書きました。今回はその要素について触れていきたいと思います。
前回大事な要素として挙げたものとしては
①ph(酸度)
②香り
③ワイン産地と同郷の料理
④質感
の4点です。
今日はまず①のph(ペーハー)と呼ばれる酸度について説明してゆきます。
ワインは酸度の高い飲み物として知られておりそれを表す数値がphです。簡単に言うと水溶液中に含まれる水素イオンの数を示す数値です。このphの数値が低くなるにつれ酸度が高いと考えられます。
普段のヒトの口内はph7.0で、これがいわゆる中性です。これより数値が大きいとアルカリ性、低いと酸性になるわけです。
身近な飲料で挙げるならば
コーヒー 5.7
紅茶 5.5
ビール 3.9〜4.1
ワイン 3.3〜3.4
レモン酎ハイ 2.8
コーラ 2.2
ちなみにレモンのphが2.1なのでレモンとコーラのphはほぼ同じなのですがコーラを酸っぱく感じないのは甘さとのバランスを取るために
酸味量が添加されているからなんですね。
ph5.5以下になるとエナメル質が溶け出すとのことなので「コーラを飲むと歯が溶ける」はあながち間違いではないですね。
料理とワインを合わせるポイントとしては前述した「口内での料理とワインが合わさった際の違和感の無さ」なので単純に酸っぱい料理に酸っぱいワインを合わせれば違和感はなくなるわけですね。
問題はその「酸っぱい」のカテゴライズです。
ワインの味わいにおける主な酸は大きく述べるとリンゴ酸と乳酸です。リンゴ酸はシュワっとした酸、乳酸はヨーグルトのようなまろやかな酸です。そしてその酸の種類も大事です。
フレッシュなフルーツの搾り汁なのか。フルーツにもレモン、ユズ、スダチ、グレープフルーツ etc…色々ありますね。
それとも発酵させたヴィネガーという手もあります。
ヴィネガーも勿論ベースが白ワイン、赤ワイン、シャンパン、シェリー、モルトなど様々な風味のヴィネガーがあります。
余談ですがヴィネガー vinegerの語源はvin aigre =酸っぱいワインという意味です。

2015 Barbera d’Alba / Aldo Conterno

ソムリエとして考えるべきは「どの種類で、どの位置の酸なのか?」です。
そしてそれを知ったうえでワインの選択をします。
酸度が高いワインを選ぶポイントとしては
1、標高の高いエリア
2、冷涼なエリア
3、冷涼なヴィンテージ
4、酸度の高い品種
が考えられるわけです。
今回ご紹介する「2015 Barbera d’Alba / Aldo Conterno」に使用されるバルベーラという品種はワインは非常に高い酸味をワインに与えます。
ブラックチェリーやベーキングスパイス、タンニンは感じられるがスムースで味わいの重心が高く、とてもクオリティの高いワインです。

ワインと料理のマリアージュ

このワインが生産されるピエモンテ州は山の麓のエリアなので料理も味わいがしっかりしたものが多いのですがワインの味わいを考えて
①重心の高い軽やかな食材=肉ではなく魚で海面の近くを泳いでるもの
②酸の高さを調節する
以上を踏まえてオイルサーディンをフレッシュトマトで軽く煮込みました。
イワシは味わいが軽く、小ぶりであるので骨や皮目の苦みも
このワインのスムースなタンニンがキレイにフィットしました。
素材だけで見れば完全にシチリアですが、味わいは寄り添うんです。
これが固定概念を壊すという面白いところです。
勿論長年その土地で共に供されてきたワインと料理は鉄板だということは僕たちも理解したうえで、新たな料理とワインの自由な楽しみ方をこれからも皆様にシェアをして、もっと素敵なワインライフの手助けになればと切に思っております。
長文になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
メゾンドタカ芦屋 朝倉達也
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